【講演報告】近藤誠太先生が心筋梗塞とコレステロールに関する講演を行いました。
2026年08月22日 15:07
先月、2026年7月27日(月)に開催されたアムジェン株式会社主催のWEBセミナーにて、当院の近藤誠太医師が心筋梗塞患者さんのコレステロール管理に関するWEB講演を行いました。
今回はその講演内容について少しご紹介したいと思います。
■ 厳格化するコレステロールの管理目標
心筋梗塞や狭心症を発症した患者さんは、血管の壁にプラーク(脂質のコブ)が形成されており、治療後も再発リスクが極めて高い状態にあります。 日本動脈硬化学会のガイドラインでは、これまで心筋梗塞後の患者さんのLDLコレステロール(LDL-C)目標値は「70mg/dL未満」とされていました。しかし最新の提言では「55mg/dL未満」が望ましいとされ、再発を防ぐための管理目標は年々厳格化しています。
■ 目標達成を阻む「クリニカル・イナーシャ(臨床的惰性)」とは?
一方で、日本国内の多施設共同研究データ※によると、目標値の達成には依然として大きな隔たりがあります。高リスクな患者さんにおいて、旧目標である「70mg/dL未満」すら達成できている割合はわずか31.8%にとどまり、目標が『絵に描いた餅』になっているのが現状です。
その背景には「クリニカル・イナーシャ(臨床的惰性)」という問題が存在します。これは「目標値に達していないにもかかわらず、適切な治療薬の追加や増量が行われない状態」を指します。 患者さんの薬に対する不安や抵抗感に加え、医療者側の「もう少し様子を見よう」という心理的油断が、この状態を引き起こす要因とされています。

■ 早期の強力な管理と「多剤併用療法」の重要性
本講演では、心筋梗塞や不安定狭心症などの急性冠症候群(ACS)における再発予防として、早期かつ強力なLDLコレステロール管理の重要性を解説しました。さらに、クリニカル・イナーシャをいかに克服するかについて、最新データや昭和医科大学病院 循環器内科での実践例を交えてお伝えしました。
現在、コレステロールを下げる薬には、一般的な「スタチン系薬剤(ロスバスタチン、アトルバスタチンなど)」をはじめ、小腸コレステロール吸収阻害薬(エゼチミブ)、PCSK9阻害薬(レパーサなどの注射薬)、そして最新のベムペド酸(ネクセトール)など、多くの選択肢があります。 厳しい目標値を達成するためには、これらの薬剤を早期から組み合わせる「多剤併用療法」の必要性が高まっています。
当院では、健診でコレステロールの高さを指摘された方の生活習慣改善から、心筋梗塞後の再発予防に向けた専門的・高度な脂質管理まで、最新のエビデンスに基づいた診療を行っています。
健康診断の数値が気になる方や治療についてご相談したい方は、どうぞお気軽にご受診ください。
